令和7年度水道事業経営方針

我孫子市水道事業は、昭和43年の給水開始から高度経済成長期の人口増加に伴う水需要に対応するため、4次にわたる拡張事業等を行い、水需要の安定供給に取組んできました。
しかし、水需要は平成9年度にピークを迎え、人口減少や節水機器の普及に伴い、給水人口と給水量ともに減少傾向となり、今後はその傾向がさらに顕著になることが予想されます。
我孫子市では、人口減少に伴う水需要の減少や既存施設の更新需要の増加、頻発する自然災害への対応といったこれまでの課題に加え、物価高騰の影響が継続するなど厳しい経営環境に直面しています。
我孫子市の水道事業では、これまで様々な取組により健全経営の維持や経営基盤の強化に努めてきましたが、将来にわたってこれらを維持していくためには、更なる基盤強化を推進する必要があります。
このようなことから平成30年度に作成した基本計画及び経営戦略を見直し、あらたに令和7年度から令和10年度までの水道事業を将来につなぐ3つの基本目標と6つの基本方針に基づき事業を実施していきます。
それでは、令和7年度の主な取組について申し上げます。
ここからは、水道事業ビジョンに掲げた『安全』『強靭』『持続』の3つの基本目標に沿って説明をいたします。

はじめに『基本目標1安全』です。
浄水場施設については、法定耐用年数を基に更新までの期間を考慮し、費用対効果の比較により更新を進めます。また、水道管路については、健全度や重要度に応じて更新する優先度を定め、適正な管口径で計画的に更新を行います。
また、市民のみなさまが安心して水道水をご利用していただけるよう水源から蛇口までの総合的な水質管理を実施します。
なお、PFOS及びPFOAについては、現在、水道局の水源である地下水からは、検出されていませんが、引き続き年2回の頻度で地下水の検査を行います。
我孫子市には、深さ220メートルの深井戸が13本あります。これらの井戸の機能保全を図るため、2か所の浚渫工事を実施いたします。

次に『基本目標2強靭』です。
現在、我孫子市の水道管路の耐震化率は令和5年度末で46.5％です。この数値は、令和4年度末の千葉県平均62.3％よりも低い結果となっています。
市民の方々から今後想定されている南海トラフ地震や首都直下型地震災害に備え、もっと耐震化を進めて欲しいとのご意見を多数いただいております。
水道局では、水道管路については、市の避難所などの重要給水施設に至るルートの耐震化を計画的かつ重点的に進めていきます。

次に『基本目標3持続』です。
水資源の適正運用については、北千葉広域水道企業団からの受水と自己水源で運用しています。令和7年度も北千葉からの受水、深井戸からの取水の運用コストについて、考慮していきます。
また、令和7年度は、人工衛星により取得した画像データをAIにより解析し、漏水の可能性のあるエリアを可視化します。その結果、漏水箇所を早期発見し、修繕を行うことで有収率の向上に繋がると考えています。
適正な水道料金水準については、令和5年度に「我孫子市水道事業基本計画及び経営戦略（後期）の見直し業務」を行い、令和6年から10年度までの収支計画の見直し・検証を行ったところ、現行の水道料金では収入不足が見込まれ、水道事業の運営が厳しくなることが判明しました。
現在、市長からの諮問を受け、水道料金の適正化について、水道事業運営審議会で慎重に審議を進めているところです。今後、さらなる審議を行い、我孫子市の適正な水道料金水準案について、議員の皆さまにお示しする予定です。
なお、環境都市常任委員会の勉強会については、令和7年3月と5月に予定しています。
今回の水道料金適正化については、水道を利用している皆さまに、ご理解を頂くため、広報活動の充実が重要と考えており、令和7年度は、広報「あびこの水道」の発行を年4回実施する予定です。
さらにホームページにおいて、水道事業の内容を市民の皆様に広くお知らせすることができるよう、現在、局内に策定委員会を立ち上げ、ホームページの充実に取組んでいます。
今後も水道局では広報・広聴活動に積極的に取組んで参ります。
次にあびこエコプロジェクトの令和7年度の取り組みとしては、PPA（電力販売契約）事業を活用して、令和7年3月までに湖北台浄水場の配水池に太陽光発電設備を設置し、令和7年度から発電した電気を湖北台浄水場で使用することで、温室効果ガスの削減に努めていきます。

最後に、水需要の減少傾向が今後も続き、料金収入の確保が厳しくなるなか、施設の更新需要は増加し、支出面では、資材価格、労務単価の上昇により、厳しい経営状況が続くことが見込まれています。
水道局では、厳しい経営環境が続く中で、将来にわたって安全な水道水を安定的に供給できるよう、健全な水道事業運営に努めて参ります。